記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

せんべろ遍路 四箇所目〜松山『誠』バーのマスターが勧める"間違いないお店"

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はろぉ〜、松山駅バリィさんです。

出張で四国巡礼をしてきたんですが、四国はどこに行っても食べ物が美味しい!

仕事をしに行ったのか、ヨダレを垂らしに行ったのか分かりませんが(冗談です!)四国のナイトライフを存分に満喫してきた訳であります。

今回も、せんべろでは収まってない訳なんですが、愛媛は松山市内で「こんなお店あるんかい!?」という感動的な出会いがあったので、紹介したいと思います。

 

松山の繁華街  大街道

夜の松山といえば、大街道

ホテルも大街道の入り口のホテルだったので、荷物を置いて、スーツから着替えたら、早速夜の松山へ繰り出します。

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香川県高松から松山への特急が少し遅れて到着したのもあって、ホテルを出たのは20時半。

お腹と背中はくっつきそうです。

 

実は今回、すでに行くお店が決まっていました。

というのも、四国出張で松山宿泊が決まった時に、いつもお世話になっているバーのマスターから「ここのお店は間違いないよ」と紹介してもらっていたからです。

お店の名前を聞いてから、出張が楽しみで楽しみでしょうがなかった、という訳です。

 

さてさて、大街道を闊歩し、ちょこっと脇に逸れたところに、それはあるとのこと。

大街道は賑やかな繁華街ですが、道を一本外れると少し薄暗く、飲み屋が軒を連ねています。

ころころと目移りしながらも、目指す目的地はひとつ

はやる気持ちを抑えながら、着実にお店に近づいていきます。

 

落ち着いた雰囲気 『小料理  誠』

さてさて、大街道の入り口から歩いて5分程度。

ここが目的地の『小料理  誠』です。

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「あれ?行ったの夜じゃないの?」と思った方。正解ですが、それは言わないお約束。

お店の写真を撮るのを忘れていたので、次の日の朝に撮りに行きました。

 

お店の引き戸は、店内に風を入れるために少し開いていて、お店の前には猫ちゃんがゴロンとしていました。

気持ち良さそうな猫ちゃんに「ごめんね〜」と言いながら、猫ちゃんを跨いで、カラカラと引き戸を開けます。

 

お店には、靴を脱いで上がります。

カウンターは10席程度だったでしょうか。

お店は、気さくなおばあちゃんが一人で切り盛りしていました。

人によってはお盆休みの最中という事もあってか、20時半の入店時にはお客さんはいませんでした。

カウンターに空いたお皿が載っていたので、食事ピークが過ぎたところだったのでしょうか。

 

カウンター席に着くと、「今日は市場がお休みだから、お刺身ないのよ…。ごめんね。でも、それは他のお店行っても一緒だから」と。

ありゃ、残念。

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ひとまず、生ビールをお願いして、店内を見渡すと…お品書きが、ない!?

キョロキョロしていると、「お腹空いてる?今日の予算はどれくらい?」と。

一瞬、脳内会議が開かれ、「5,000〜6,000円くらいですかね…」と回答。

すると、「じゃ、それくらいで見繕ってあげるね」との返答が。

ここからサプライズが始まったのですが、この時点では、この先どうなるのか少し不安でした。

 

想定外の "天然もの"

最初に頂いたのは、自家製の甘味噌がかかったキュウリ

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味噌には小魚が入っていて、田作(カタクチイワシのつくだ煮)のような感じでした。

乾ききった身体中に染み渡るビールと一緒に、ホイホイ箸が進みます。

これ、ご飯にかけても美味しそうだし、舐めながら日本酒もイケそう。

 

「これ、すぐに出せるから、次はこれね」という事で、次に頂いたのがこちら。

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揚げたアマギ(上)とアジ(下)のマリネです。

"アマギ"って、初めて聞いた名前だったんですが、愛媛県ではイボダイの事をそう呼ぶようです。

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アマギ(Wikipediaより)

アジはそのまま頭からパクっと。

アマギは身をほぐしながら、玉ねぎと一緒に頂きます。

お酢でさっぱりしてて、ビールが進む!

 

満面の笑みがこぼれたタイミングで、「鮎、食べる?」と聞かれました。

鮎は好きなので、「ぜひ、食べたいです!」と即答。

常連さんが釣り好きで、この時期になると、釣れた鮎を売ってくれるんだそう。

「もう少し早く来てたら、刺身でも出してたんだけど…。鮎は鮮度が命だからね」

鮎の刺身なんて、食べた事ない!惜しい事したなぁ…。

目の前のグリルで焼いてくれます。

ぱちぱちという音が、食欲をそそる。

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二匹も焼いてくれました。

添えられたすだちを絞って、一匹目はビールと一緒に

「うーん、美味!」

思わず、「美味しいです!」と叫んでしまいました。

「そうでしょ。天然の鮎だからね。養殖の鮎とは違うよ」

おぉ…!と感動しながらも、「俺、天然の鮎なんて食べちゃって大丈夫なのか?」と一抹の不安が頭をよぎる。

…も、もう一匹も美味しく頂くために、日本酒を冷やでお願いしました。

日本酒を飲みながら頂く鮎も、格別です。

 

怒涛の愛媛ラッシュ!

次に頂いたのは、地元産のナスをサッと油に通したものに、いっぱいの味噌を乗せ、万能ネギを散らしたもの。

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スプーンでナスと味噌とネギを混ぜて食べてね、とのこと。

アツアツのまま、口に放り込む。

ナス、肉厚!

旨味汁が口の中にぶわぁ〜っと、ものすごい勢いで広がる!

またまた、日本酒が進む。

 

次に登場したのが、愛媛のブランド豚「愛媛甘とろ豚」を使ったトンカツです。

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愛媛は中国地方でも養豚が盛んな地域なんだそうで。

そして、生産量日本一を誇る愛媛県産裸麦を食べて育った豚は、柔らかさジューシーさ脂身三拍子揃った、料理のプロも絶賛するブランド豚なんだとか。

で…、いざ実食!

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はもっと、簡単に噛み切れてしまうお肉!

なんなんだ!?この柔らかさはッ!!

ぽんぽん口に放り込んでいったら、一瞬で六切れを完食してしまいました。

 

とてつもないもの、登場。

ここまでで、だいぶ胃袋は充たされていました。正直、そろそろお会計でもいいかな…という塩梅。

しかし、ここで、衝撃の一言が聴こえてくる。

「鯛、食べれる?」

  What's!?

しかも、目の前にぶら下げられた鯛は、かなりの大きさ

即答できず、逡巡していると、「これ、郷土料理だから食べてって」と、グリルでの調理が始まってしまった。

 

そして、出て来たのが、こちら。

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で〜んッ!!

なんじゃこりゃあ〜っ!!

瀬戸内海沿岸地域に広く伝わる郷土料理・鯛そうめん

ちょっと写真が残ってないのですが、錦糸卵や椎茸の煮付け、万能ネギの下にそうめんが盛ってあります。

普通のそうめんだと、すぐに伸びてしまうので、モロヘイヤを練りこんだ麺を使っているのは、お店のこだわり。

鯛の尻尾には、北海道産の白ワサビが盛ってあります。

 

ん〜、こんな大きな鯛めったに見ないし、一人で食べたことなんて一度もない

しかし、お腹はかなり充たされている!

でも、作って頂いたら、食べない訳にいかないので、いざ実食!!

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めんつゆに好きな具材とそうめんを入れ、ほぐした鯛の身と一緒にパクリ。

ウマイッ!

…というか、マズい訳がない。

 

愛媛県県魚はマダイ

天然、養殖ともに日本一の生産を誇り、まさに"めで鯛"魚なんだとか。

しかし、最近テレビで鯛そうめんが紹介された際に、養殖鯛を使っていたそうで、「鯛は県魚で、漁獲量も日本一なのに、郷土料理を作るのに養殖なんて使っちゃダメだ。私は鯛そうめんを作るときに天然しか使わない!」とお話されていました。

え〜と、鮎に続き、鯛も天然でございますか!?

はてさて、私は無事にお会計できるのでしょうか…?

 

運命のお会計タイム

遺憾ながら、半分ほどしか食べられず、申し訳なさそうにお会計を申し出ます。

すると、「ありゃ、結構残したのね…」とのコメントの後に、「おみやみたいに包んであげるから、明日の朝ごはんに食べなさい」と、くるくるっと包んでくれました。

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そして、ドキドキのお会計なんですが、、、

「最初に言ってた予算通りのお代でいいよ」

「え、でも、私それ以上に食べましたよね?」

「いいから、予算以上には出さなくていいからね」

というやりとりが。

6,000円を渡すと、1,000円返されちゃいました。

お腹も、心も、お財布も満足してしまいました。

思わず、「絶対また来ます!」という言葉が口から出ていました。

 

そのあと…。

おみやをぶら下げてホテルに戻り、シャワーを浴びようとTシャツを脱ぐと…

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でぇ〜ん!!

ジーンズのベルトにお腹が乗っかっちゃってます。

普段は細身で、履けるパンツを探すのにも苦労するほどなのですが、ボタンもはち切れんばかりに、お腹が膨張しちゃってました。

 

そして、翌朝。

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おみやの包みをほどき…。

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ラップを外して…。

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こんなに豪勢な朝ごはん、おそらく、これまでの人生で初めてだと思われます。

というか、後にも先にも、もうなさそう。

割り箸と、おしぼり、湯呑みにめんつゆまで入れて付けてくれた心遣いに、朝から感動

 

次の出張で愛媛を訪れた際には、湯呑み茶碗を持参して、「先日はごちそうさまでした!」と言いながら再訪したいと心に決めました。

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【お店情報】

   

    愛媛県松山市二番町2-5-5

    営業時間:11:30〜14:00、17:00〜23:00

       ※日曜日は定休日。

    Tel:089-943-2419

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