記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

2019-01-03から1日間の記事一覧

【日刊 太宰治全小説】#3「思い出」二章(『晩年』)

【冒頭】いい成績ではなかったが、私はその春、中学校へ受験して合格をした。私は、新しい袴(はかま)と黒い沓下(くつした)とあみあげの靴をはき、いままでの毛布をよして羅紗(ラシャ)のマントを洒落者らしくボタンをかけずに前をあけたまま羽織って、その海…