記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

2019-01-08から1日間の記事一覧

【日刊 太宰治全小説】#8「猿ヶ島」(『晩年』)

【冒頭】はるばると海を越えて、この島に着いたときの私の憂愁(ゆうしゅう)を思い給(たま)え。夜なのか昼なのか、島は深い霧(きり)に包まれて眠っていた。私は眼をしばたたいて、島の全貌(ぜんぼう)を見すかそうと努めたのである。裸の大きい岩が急な勾配(こ…