記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

2019-03-15から1日間の記事一覧

【日刊 太宰治全小説】#74「老ハイデルベルヒ」

【冒頭】八年まえの事でありました。当時、私は極めて懶惰(らんだ)な帝国大学生でありました。一夏を、東海道三島の宿で過したことがあります。五十円を故郷の姉から、これが最後だと言って、やっと送って戴(いただ)き、私は学生鞄に着更の浴衣やらシャツや…