記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

女の決闘

【週刊 太宰治のエッセイ】古典龍頭蛇尾

◆「古典龍頭蛇尾」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【日刊 太宰治全小説】#83「女の決闘」第六

【冒頭】いよいよ、今回で終りであります。一回、十五、六枚ずつにて半箇年間、つまらぬ事ばかり書いて来たような気が致します。私にとっては、その間に様々の思い出もあり、また自身の体験としての感懐も、あらわにそれと読者に気づかれ無いように、こっそ…

【日刊 太宰治全小説】#82「女の決闘」第五

【冒頭】決闘の次第は、前回に於いて述べ尽しました。けれども物語は、それで終っているのではありません。 【結句】次回に於いて、すべてを述べます。 「女(おんな)の決闘(けっとう) 第五」について ・新潮文庫『新ハムレット』所収。・昭和15年2月下旬…

【日刊 太宰治全小説】#81「女の決闘」第四

【冒頭】決闘の勝敗の次第をお知らせする前に、この女ふたりが拳銃を構えて対峙した可憐陰惨、また奇妙でもある光景を、白樺の幹の蔭にうずくまって見ている、れいの下等の芸術家の心懐に就いて考えてみたいと思います。 【結句】女房は真っ直ぐに村役場に這…

【日刊 太宰治全小説】#80「女の決闘」第三

【冒頭】女学生は一こと言ってみたかった。「私はあの人を愛していない。あなたはほんとに愛しているの。」それだけ言ってみたかった。 【結句】人は俗世の借金で自殺することもあれば、また概念の無形の恐怖から自殺することだってあるのです。決闘の次第は…

【日刊 太宰治全小説】#79「女の決闘」第二

【冒頭】前回は、「その下に書いた苗字を読める位に消してある。」というところ迄でした。その一句に、匂わせて在る心理の微妙を、私は、くどくどと説明したくないのですが、読者は各々勝手に味わい楽しむがよかろう。なかなか、ここは、いいところなのであ…

【日刊 太宰治全小説】#78「女の決闘」第一

【冒頭】一回十五枚ずつで、六回だけ、私がやってみることにします。こんなのは、どうだろうかと思っている。たとえば、ここに、鷗外の全集があります。 【結句】この文句の次に、出会う筈の場所が明細に書いてある。名前はコンスタンチェとして、その下に書…