記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

春の枯葉

【週刊 太宰治のエッセイ】新しい形の個人主義

◆「新しい形の個人主義」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【日刊 太宰治全小説】#223「春の枯葉」第三場

【冒頭】 (舞台中央まで来て、疲れ果てたる者の如く、かたわらの漁船に倒れるように寄りかかり)ああ、頭が痛い。これあ、ひどい。 【結句】 (奥田を見送り、それから、しゃがんで野中の肩をゆすぶる)もし、もし。風邪をひきますよ。さ、一緒に帰りましょ…

【日刊 太宰治全小説】#222「春の枯葉」第二場

【冒頭】 (洗濯物を取り込み、それを両腕に一ぱいかかえ、上手(かみて)に立ち去りかけて、ふと縁側のほうを見て立ちどまり)あら、奥田先生、お鍋が吹きこぼれていますよ。 【結句】 (夢遊病者の如くほとんど無表情で歩き、縁側から足袋はだしで降りて)僕…

【日刊 太宰治全小説】#221「春の枯葉」第一場

【冒頭】 (蒼(あお)ざめた顔に無理に微笑を浮べ)何も、叱るんじゃないのだ。なんだいお前は、もう高等科二年にもなったくせに、そんなに泣いて、みっともないぞ。さあ、ちゃんと、涙を拭(ふ)け。 【結句】 そうよ。あたしたちは音楽会をひらくのよ。音楽会…