記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

東京八景

【週刊 太宰治のエッセイ】多頭蛇哲学

◆「多頭蛇哲学」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【日めくり太宰治】7月3日

7月3日の太宰治。 1940年(昭和15年)7月3日。 太宰治 31歳。 静岡県賀茂郡上河津村の湯ケ野温泉に着いて旅館福田屋(福田家)に宿をとり、その二階の六畳間で「東京八景」の稿を起こした。 湯ケ野温泉「福田屋」での執筆 1940年(昭和15…

【日刊 太宰治全小説】#96「東京八景」

【冒頭】伊豆の南、温泉が湧き出ているというだけで、他には何一つとるところの無い、つまらぬ山村である。戸数三十という感じである。こんなところは、宿泊料も安いであろうという、理由だけで、私はその索漠(さくばく)たる山村を選んだ。昭和十五年、七月…