記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

風の便り

【日刊 太宰治全小説】#122「風の便り」秋

【冒頭】謹啓。しばらく御無沙汰して居りました。仕事を一段落させてから、ゆっくりお礼やらお詫びやらを申し上げようと思って、きょうまで延引してまいりました。 【結句】「天才とは、いつでも自身を駄目だと思っている人たちである」笑ったね。匆々(そう…

【日刊 太宰治全小説】#121「風の便り」旅信

【冒頭】拝復。君の手紙は下劣でした。お答えするのも、ばからしい位です。けれども、もう一度だけ御返事を差し上げます。君の作品を、忘れる事が出来ないからです。 【結句】外八文字は、案外、君に気があるのかも知れぬ。もういちど話かけてみたら、どうで…

【日刊 太宰治全小説】#120「風の便り」風の便り

【冒頭】拝啓。突然にて、おゆるし下さい。私の名前をご存じでしょうか。 【結句】加納さんは、私と同郷の、千葉の人なのです。頓首。 六月三十日 木戸一郎井原退蔵様 「風(かぜ)の便(たよ)り 風(かぜ)の便(たよ)り」について ・新潮文庫『きりぎりす』所収…

嬉しい贈り物〜スクランブル読書

太宰さん、事件です! つい最近も、同じ書き出しで書き始めたような気がするのですが、そこはご愛敬。 なんて言ったって、太宰治生誕110周年という記念すべきこの年に、こんなに嬉しい出来事に恵まれるなんて! そもそもの発端は、3月12日付、日本近代文学元…