記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を、自由に旅する。太宰治が、ソウルフレンド。

【日刊 太宰治全小説】#146「赤心」

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【冒頭】
建保元年癸酉。三月六日、天霽。

【結句】
山ハサケ海ハアセナム世ナリトモ君ニフタ心ワガアラメヤモ    源 実朝

 

赤心(せきしん)」について

新潮文庫『地図』所収。
・昭和18年3月下旬から4月上旬頃までに脱稿。
・昭和18年2月1日、『新潮』五月号に発表。 


地図 (新潮文庫)

 

 全文掲載

  建保元年癸酉。三月六日、天霽。この日、将軍家、御年二十二歳にして正二位に(しょう)(じょ)せられた事の知らせが京都からございまして、これすでに破格の栄誉、あまっさえその叙書に添えられ、かしこくも(せん)(とう)御所より、いよいよ忠君の誠を致すべし、との御親書さえ賜りました御気配で、南面にお出ましのまま、深更まで(ぎょ)(しん)なさらず、はるかに西の、京の方の空を拝し、しきりに御落涙なさって居られました。

 百ノ霹靂(へきれき)一時ニ落ツトモ、カクバカリ心ニ強ク響クマイ。

 と(あお)ざめたお顔で、誰に言うともなく低く(うめ)かれるようにおっしゃって、その夜、(つつ)しみ慎しみお作りになられたお歌こそ

 山ハサケ海ハアセナム世ナリトモ君ニフタ心ワガアラメヤモ    源 実朝

 

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