記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【日刊 太宰治全小説】完結のお礼

いつも【日刊 太宰治全小説】をご覧頂き、誠にありがとうございます。 今日も、いつもの時間に、しれっと更新しましたが、おかげさまで、昨日の更新分を以って、無事に完結致しました。 今年2019年が、太宰治生誕110周年にあたるという事もあり、「太宰治は…

【日刊 太宰治全小説】#276「グッド・バイ」コールド・ウォー(二)

【冒頭】 こうなったら、とにかく、キヌ子を最大限に利用し活用し、一日五千円を与える他は、パン一かけら、水一ぱいも饗応(きょうおう)せず、思い切り酷使(こくし)しなければ、損だ。温情は大の禁物(きんもつ)、わが身の破滅。 【結句】 彼は、めっきりキヌ…

【日刊 太宰治全小説】#275「グッド・バイ」コールド・ウォー(一)

【冒頭】 田島は、しかし、永井キヌ子に投じた資本が、惜しくてならぬ。こんな、割の合わぬ商売をした事が無い。 【結句】 「五千円で、たのみます。」「ばかねえ、あなたは。」くっくっ笑う声が聞える。承知の気配だ。 「グッド・バイ コールド・ウォー(一…

【日刊 太宰治全小説】#274「グッド・バイ」怪力(四)

【冒頭】 「ピアノが聞えるね。」彼は、いよいよキザになる。眼を細めて、遠くのラジオに耳を傾ける。 【結句】 色男としての歴史に於いて、かつて無かった大屈辱にはらわたの煮えくりかえるのを覚えつつ、彼はキヌ子から恵まれた赤いテープで、眼鏡をつくろ…