【冒頭】 後深草天皇宝治元年三月二十日、津軽の大浦というところに人魚はじめて流れ寄り、其の形は、かしらに細き海藻の如き緑の髪ゆたかに、面は美女の愁(うれ)えを含み、くれないの小さき鶏冠(とさか)その眉間にあり、上半身は水晶の如く透明にして幽…
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