記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【日刊 太宰治全小説】#154「右大臣実朝」六

【冒頭】 いったいにあの相州さまは、奇妙に人に憎まれるお方でございました。 【結句】 胤長さまのお屋敷は、さらに左衛門尉義盛さまからお取り上げに相成り、相州さまがあずかる事になって、和田さま御一族がそのお屋敷に移り住んで居られたのを、相州さま…

【日刊 太宰治全小説】#153「右大臣実朝」五

【冒頭】 さて、つづく建暦三年、このとしは十二月六日に建保と改元になりましたが、なにしろ、事の多いとしでございました。正月一日から地震がございまして、はなはだ縁起の悪い気持が致しましたが、果して陰謀やら兵乱やら、御所の炎上、また大地震、落雷…

【日刊 太宰治全小説】#152「右大臣実朝」四

【冒頭】 あくる建暦二年の二月に、私は、はじめて二所詣のお供をさせていただきました。承元元年正月以来五年振りのお詣りでございましたが、承元元年には将軍家は十六歳、その時には私はまだ御所の御奉公にあがっていませんでしたので、このたびはそれこそ…