記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

富嶽百景

【日めくり太宰治】9月13日

9月13日の太宰治。 1938年(昭和13年)9月13日。 太宰治 29歳。 井伏鱒二の勧めにより鎌滝方を引き払い、質屋から「夏の和服一揃を出して着かざり」、「淡茶色の鞄」一つ提げて、「思いをあらたにする覚悟」で、井伏鱒二の滞在していた山梨県…

【日刊 太宰治全小説】#42「富嶽百景」②

【冒頭】ことさらに、月見草を選んだわけは、富士には月見草がよく似合うと、思い込んだ事情があったからである。 【結句】富士を見ると、甲府の富士は、山々のうしろから、三分の一ほど顔を出している。酸漿(ほおずき)に似ていた。 「続(ぞく)、富嶽百景(ふ…

【日刊 太宰治全小説】#41「富嶽百景」①

【冒頭】富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晃(ぶんちょう)の富士も八十四度くらい、けれども、陸軍の実測図によって東西及南北に断面図を作ってみると、東西縦断は頂角、百二十四度となり、南北は百十七度である。広重、文晃に限らず、たいていの絵の富…