記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

太宰治に乾杯!

太宰と飲みてぇなぁ…。

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 今年2018年は、太宰 没後70年
 来年2019年は、太宰 生誕110年
 2年続けて節目の年が続きます。

 2年も関連する年が続くと、太宰をソウルフレンドと謳って止まない身としては、こう、コツンとグラスを交わして、太宰と乾杯してぇなぁ…と思う訳です。
 ビール中瓶を、お互いに手酌で進めながら、2本くらい空けたところで、カップ…。

あぁ、たまらない…。

(※実はカップ酒(ONE CUP OZEKI)って、1964年10月10日の東京オリンピック開催に合わせて発売されました。太宰が亡くなったのは、1948年なので、太宰って、ワンカップ知らないんですね。太宰が飲んでたのは、コップ酒です。)

 

太宰を知る人のエピソード

 2017年10月16日に放送された「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日系)で、太宰の叔母・きゑさんのお孫さん 津島廉造さんが、太宰とお酒を飲んだ時のエピソードをお話しされていました。

1945年の太平洋戦争末期、20歳の歯科大学生だった津島さんは、故郷の青森に疎開していたそうだ。ある日、家の中が慌ただしい様子で、祖母に確認をすると太宰がやって来ると返されたという。

津島さんいわく、太宰が有名な作家なのは知っていたが、自殺未遂などを繰り返して世間を騒がせる人物だったので一族からは勘当されていたらしい。津島家では、親族間でも太宰の話題はタブーとなっていたそうだ。だが津島さんは、破天荒な太宰の訪問に期待を膨らませていたという。

しかし、実際に対面すると「全然普通の人と変わりなかった」という感想を抱き、太宰から「すべての仕草が特別な感じは一切しませんでした」と印象を振り返る。

一方で、太宰は酒が進むと冗談を言うことを発見したとか。だが太宰は、自分の話に自分でウケて大笑いしていたので「話は一方通行」だったと告白。話の内容について言及されると、津島さんは聖書の隣人愛が中心だったと吐露していた。

最後に、津島さんは当時の太宰の印象について「酒飲み失格」だと語ったのだった。

 太宰の朋友 伊馬春部『桜桃の記』にも、以下のような記述があります。

彼はよくわらった。わらうというよりは噴き出すと、あの長身を折り曲げ、眉を波うたせ顔中くしゃくしゃにしていつまでも笑う。

 太宰は、よく笑った人みたいです。

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 残ってる写真は、ちょっと斜に構えてカッコいい写真が多いですが、こういう側面は 、生前の太宰を知ってる人ならではのエピソードですね。

(※太宰は、自分の鼻が大きいのを気にしていて、正面からの写真を嫌ったそうです。)

 お酒の飲み方については一家言あったようで、酔っ払って人に絡んだり、絡まれたりを、ひどく毛嫌いしていたようです。
 また、飲酒量が限度に達すると、くしゃみをする、といったエピソードも残っています。
 酒豪・太宰治には「酒の追憶」「酒ぎらい」「禁酒の心」など、お酒について書かれた短篇や随筆も多くあります。

 こういうエピソードや作品も、今後ブログで紹介していければと思っています。

 

太宰治との出会い

 さて、あまり長くなってもいけないですが、太宰と私の出会いについて、少し書いておこうかなと思います。

 

 私と太宰治との出会いは上京した10年前。

 青森で採れた私ですが、太宰作品で読んだ事があるのは走れメロス程度。

 「地元の作家だよ」と、国語の授業で教わった人間像も、人間失格」を書いて入水自殺した暗い人…というイメージでした。

 

 太宰を本格的に読み始めたのは、大学1年生。

 春休みに、実家に帰りたくても、部活やバイトで時間がなく、お金もない…とホームシックになっていた時、毎日のように通っていた駅近くの本屋の棚の中で、たまたま私を呼んでくれたのが、新潮文庫の黒い背表紙だったのです。

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 最初に手に取ったのは走れメロス
 授業で読んだことがあるという、親近感と懐かしさからだと思います。

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 ほぼ10年ぶりに出会う走れメロスは懐かしく、小学生時代に途中で読むことを放棄した「富岳百景」も面白く、「東京八景」は、自分と同じく上京し、東京で悩んで生きた同郷人なんだな…という同郷意識が一気に芽生えたのを覚えています。

 『走れメロス所収の「帰去来」「故郷」を経て、流れで次に手に取ったのは津軽
 本を読んでいると、里帰りした気分になり、「青森には何もない!」と言って上京したはずなのに、故郷の良さや、青森って良いところだなぁ…という同郷愛が芽生えました。
 故郷の青森や、家族に対して、自分を育ててくれたという感謝の念を抱くキッカケをくれたのが、この本でした。
 この2冊で、太宰の魅力に取り憑かれてしまい、毎日文庫1~2冊程度のペースで読み進め、新潮文庫から出ていた17冊(現在は18冊を)イッキ読みしてしまいました。
 そして、タイムリーなことに、私と太宰との出会いは、ちょうど生誕100周年の年だったのです。

 もともと、好きになったらトコトン!のオタク気質に加え、同郷人という親近感から、「人間」太宰治について、もっと知りたくなりました。

 生誕100周年で出版物も多く、書店でもコーナーが設けられているところが多かったため、太宰について知るには、とてもタイムリーなタイミングだったと思います。

 こんな感じで、研究書にも目を通したり、ゆかりの地を巡る、いわゆる聖地巡礼をしてみたり…と、気付いたら、太宰はソウルフレンドに。

 あまり知られていない、ひとりの「人間」としての太宰のエピソードは面白いものも多く、これをキッカケに太宰を知り、太宰の本を手に取る人が増えてくれたら…と思うようになりました。

 奇しくも、今年は私と太宰が出会ってからも、ちょうど10年の節目の年。

 これまで集めたエピソードを個人的な備忘録としてまとめていきながら、皆さんに太宰を知ってもらう、ひとつのキッカケづくりができれば幸いです。

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 どうぞ、お付き合い下さいませ。

 

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本ブログに掲載している太宰のカラー写真は、ディープネットワークによる色付け加工をしています。

http://hi.cs.waseda.ac.jp:8082/

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