記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

思い出

【週刊 太宰治のエッセイ】檀君の近業について

◆「檀君の近業について」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【週刊 太宰治のエッセイ】音に就いて

◆「音に就いて」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【日めくり太宰治】1月5日

1月5日の太宰治。 1929年(昭和4年)1月5日。 太宰治 19歳。 午後零時十五分、青森中学校在学中の弟礼治が、青森市大字寺町四十六番地の県立病院で、敗血症のために突如逝去した。享年十七歳。アヤ達十人が馬橇(ばそり)二台で五所川原駅まで遺骸…

【日刊 太宰治全小説】#4「思い出」三章(『晩年』)

【冒頭】四年生になってから、私の部屋へは毎日のようにふたりの生徒が遊びに来た。私は葡萄酒(ぶどうしゅ)と鯣(するめ)をふるまった。そうして彼等に多くの出鱈目(でたらめ)を教えたのである。 【結句】私たちは、お互いの頭をよせつつ、なお鳥渡(ちょっと)…

【日刊 太宰治全小説】#3「思い出」二章(『晩年』)

【冒頭】いい成績ではなかったが、私はその春、中学校へ受験して合格をした。私は、新しい袴(はかま)と黒い沓下(くつした)とあみあげの靴をはき、いままでの毛布をよして羅紗(ラシャ)のマントを洒落者らしくボタンをかけずに前をあけたまま羽織って、その海…

【日刊 太宰治全小説】#2「思い出」一章(『晩年』)

【冒頭】黄昏(たそがれ)のころ私は叔母と並んで門口に立っていた。叔母は誰かをおんぶしているらしく、ねんねこを着て居た。その時の、ほのぐらい街路の静けさを私は忘れずにいる。 【結句】私はその混雑にまぎれて、受験勉強を全く怠ったのである。高等小学…