記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を、自由に旅する。

新ハムレット

【日刊 太宰治全小説】#118「新ハムレット」九

【冒頭】 ハム。「そうか。ポローニヤスが、昨夜が姿を見せぬか。それは少し、へんだね。でも、まあ、たいした事は無かろう。大人には、おとなの世界があるんだ。 【結句】 ハム。「信じられない。僕の疑惑は、僕が死ぬまで持ちつづける。」 「新ハムレット …

【日刊 太宰治全小説】#117「新ハムレット」八

【冒頭】 王。「裏切りましたね、ポローニヤス。子供たちを、そそのかして、あんな愚にも附かぬ朗読劇なんかをはじめて、いったい、どうしたのです。気が、へんになったんじゃないですか? 【結句】 王。「涙。わしのような者の眼からでも、こんなに涙が湧い…

【日刊 太宰治全小説】#115「新ハムレット」六

【冒頭】 王妃。「あたたかになりましたね。ことしは、いつもより、春が早く来そうな気がします。 【結句】 オフ。「王妃さま、お言葉が、よくわかりませぬ。でも、オフィリヤの事なら、もう御心配いりません。あたしは、ハムレットさまのお子を育てます。」…

【日刊 太宰治全小説】#114「新ハムレット」五

【冒頭】 ポロ。「ハムレットさま!」 ハム。「ああ、びっくりした。なんだ、ポローニヤスじゃないか。そんな薄暗いところに立って、何をなさっているのです。」 ポロ。「あなたを、お待ち申していました。ハムレットさま!」 【結句】 ハム。「ははん、ホレ…

【日刊 太宰治全小説】#113「新ハムレット」四

【冒頭】 王妃。「私が、王にお願いして、あなたをウイッタンバーグからお呼びするように致しました。ハムレットには、ゆうべ、もう逢いましたでしょうね。どうでしたか?まるで、だめだったでしょう?どうして急に、あんなになったのでしょう。 【結句】 た…

【日刊 太宰治全小説】#112「新ハムレット」三

【冒頭】 ハム。「しばらくだったな。よく来てくれたね。どうだい、ウイッタンバーグは。どんな具合だい。みな相変らずかね。」 【結句】 ホレ。「存じて居ります。ホレーショーは、いつでも、あなたの味方です。」 「新ハムレット 三」について ・新潮文庫…

【日刊 太宰治全小説】#111「新ハムレット」二

【冒頭】 レヤ。「荷造りくらいは、おまえがしてくれたっていいじゃないか。ああ、いそがしい。船は、もう帆に風をはらんで待っているのだ。おい、その哲学小事典を持って来ておくれ。これを忘れちゃ一大事だ。 【結句】 いやな話だねえ。女の子は、これだか…

【日刊 太宰治全小説】#110「新ハムレット」一

【冒頭】 王。「皆も疲れたろうね。御苦労でした。先王が、まことに突然、亡くなって、その涙も乾かぬうちに、わしのような者が位を継ぎ、また此の度はガーツルードと新婚の式を行い、わしとても具合の悪い事でしたが、すべて此のデンマークの為です。 【結…

【日刊 太宰治全小説】#109「新ハムレット」はしがき

【冒頭】 こんなものが出来ました、というより他に仕様が無い。 【結句】 作者の力量が、これだけしか無いのだ。じたばた自己弁解をしてみたところで、はじまらぬ。 昭和一六年、初夏。 「新ハムレット はしがき」について ・新潮文庫『新ハムレット』所収。…