記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を自由に旅する。太宰治がソウルフレンド。

田部あつみ

【週刊 太宰治のエッセイ】青森

◆「青森」 毎週月曜朝6時更新。太宰治の全エッセイ全163作品を執筆順に紹介します。

【日めくり太宰治】12月7日

12月7日の太宰治。 1930年(昭和5年)12月7日。 太宰治 21歳。 十二月上旬の恢復(かいふく)後、自殺幇助(ほうじょ)罪容疑で警察の引致取調べを受けた。 太宰、自殺幇助(ほうじょ)罪に問われる 1930年(昭和5年)11月28日夜半、太宰と…

【日めくり太宰治】12月2日

12月2日の太宰治。 1930年(昭和5年)12月2日。 太宰治 21歳。 田部(たなべ)あつみの葬儀が行われた。 田部(たなべ)あつみの葬儀と中畑の後始末 1930年(昭和5年)11月28日、東京帝国大学1年生の太宰と、銀座のカフェー「ホリウッド…

【日めくり太宰治】11月29日

11月29日の太宰治。 1930年(昭和5年)11月29日。 太宰治 21歳。 午前八時頃、出漁しようとしていた浜上(はまじょう)の漁夫の一人に、苦悶中を発見されたが、女はすでに絶命していた。 鎌倉腰越町小動崎(こゆるぎがさき)での情死事件 193…

【日めくり太宰治】11月28日

11月28日の太宰治。 1930年(昭和5年)11月28日。 太宰治 21歳。 銀座裏のカフェー「ホリウッド」の女給通称田部(たなべ)あつみ(戸籍名田部シメ子、大正元年十二月二日生、十九歳)と識った。 太宰、田部(たなべ)あつみと小動崎(こゆるぎが…

【日めくり太宰治】11月7日

11月7日の太宰治。 1929年(昭和4年)11月7日。 太宰治 20歳。 十一月頃、町の娘と郊外の原っぱで、カルモチン心中を図って未遂に終わったと伝えられる。 太宰、最初の心中未遂? 1929年(昭和4年)11月頃、太宰が官立弘前高等学校3年…

【日めくり太宰治】2月7日

2月7日の太宰治。 1931年(昭和6年)2月7日。 太宰治 21歳。 中畑慶吉(なかはたけいきち)に伴われて、小山初代(おやまはつよ)が上京。 太宰と初代の新婚生活 小山初代が上京した日付は、正確には分かっていませんが、長篠康一郎は著書『太宰治文…

【日めくり太宰治】1月27日

1月27日の太宰治。 1931年(昭和6年)1月27日。 太宰治 23歳。 上京中の長兄文治に呼び出されて、会談。前年十一月九日の仮証文を破棄し、新たに本格的な証文を「覚」として書き、両者署名捺印して取り交わした。 長兄・文治と交わした「覚」 …

【考察】太宰治は、本当に首を絞められたのか?

2019年、生誕110年を迎える人気作家・太宰治。愛人・山崎富栄さんと玉川上水で心中した太宰ですが、その死の真相は明らかになっていません。 富栄さんに首を絞められて殺されたとも言われる太宰。 ”太宰治は、本当に首を絞められたのか?”考察します。

【日刊 太宰治全小説】#58「火の鳥」⑨(『愛と美について』)

【冒頭】 その夜、ああ、知っているものが見たら、ぎょっとするだろう。須々木乙彦は、生きている。生きて、ウイスキイを呑んでいる。 【結句】 ばかだ、ばかだ。ひとのめかけになるなんて。ばかだ。死ね!僕が殺してやる。」 「未完」 「火の鳥」について …

【日刊 太宰治全小説】#57「火の鳥」⑧(『愛と美について』)

【冒頭】 高野さちよは、そのひとつきほどまえ、三木と同棲をはじめていた。数枝いいひと、死んでも忘れない、働かなければ、あたし、死ぬる、なんにも言えない、鷗(かもめ)は、あれは、唖(おし)の鳥です、とやや錯乱に似た言葉を書き残して、八重田和枝…

【日刊 太宰治全小説】#56「火の鳥」⑦(『愛と美について』)

【冒頭】 成功であった。劇団は、「鷗座(かもめざ)」。劇場は、築地小劇場。狂言は、チェホフの三人姉妹。女優、高野幸代は、長女オリガを、見事に演じた。 【結句】 助七に、ぐんと脊中を押され、青年は、よろめき、何かあたたかい人間の真情をその脊中に…

【日刊 太宰治全小説】#55「火の鳥」⑥(『愛と美について』)

【冒頭】 高野さちよを野薔薇としたら、八重田数枝は、あざみである。 【結句】 とにかく、この子が女優になるというし、これは、ひとつ、後援会でも組織せずばなるまい。 「火の鳥」について ・新潮文庫『新樹の言葉』所収。 ・昭和13年11月末から12…

【日刊 太宰治全小説】#54「火の鳥」⑤(『愛と美について』)

【冒頭】 東京では、昭和六年の元旦に、雪が降った。未明より、ちらちら降りはじめ、昼ごろまでつづいた。ひる少しすぎ、戸山が原の雑木の林の陰に、外套の襟を立て、無帽で、煙草をふかしながら、いらいら歩きまわっている男が在った。 【結句】 ばりばりと…

【日刊 太宰治全小説】#53「火の鳥」④(『愛と美について』)

【冒頭】 さちよは、ふたたび汽車に乗った。須々木乙彦のことが新聞に出て、さちよもその情婦として写真まで掲載され、とうとう故郷の伯父が上京し、警察のものが中に入り、さちよは伯父と一緒に帰郷しなければならなくなった。 【結句】 三木朝太郎は、くる…

【日刊 太宰治全小説】#52「火の鳥」③(『愛と美について』)

【冒頭】 男は、何人でも、います。そう答えてやりたかった。おのれは醜いと恥じているのに、人から美しいと言われる女は、そいつは悲惨だ。 【結句】 青年は陰鬱(いんうつ)に堪えかねた。 「火の鳥」について ・新潮文庫『新樹の言葉』所収。 ・昭和13…

【日刊 太宰治全小説】#51「火の鳥」②(『愛と美について』)

【冒頭】 高野さちよは、奥羽の山の中に生れた。祖先の、よい血が流れていた。 【結句】 このひとは、なんにも知らないのだ。私たちが、どんなにみじめな、くるしい生活をしているのか、このお坊ちゃんには、なんにもわかっていないのだ。そう思ったら、微笑…

【日刊 太宰治全小説】#50「火の鳥」①(『愛と美について』)

【冒頭】 昔の話である。須々木乙彦は古着屋へはいって、君のところに黒の無地の羽織はないか、と言った。 【結句】 須々木乙彦は、完全に、こと切れていた。 女は、生きた。 「火の鳥」について ・新潮文庫『新樹の言葉』所収。 ・昭和13年11月末から1…

【日刊 太宰治全小説】#10「道化の華」(『晩年』)

【冒頭】「ここを過ぎて悲しみの市(まち)」友はみな、僕からはなれ、かなしき眼もて僕を眺める。友よ、僕と語れ、僕を笑え。ああ、友はむなしく顔をそむける。友よ、僕に問え。僕はなんでも知らせよう。僕はこの手もて、園を水にしずめた。僕は悪魔の傲慢(ご…