記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を、自由に旅する。太宰治が、ソウルフレンド。

津軽

【桜桃忌2019】太宰治 生誕110周年によせて

6月19日。今日は、桜桃忌です。 1948年の6月13日、太宰治は愛人の山崎富栄さんとともに東京三鷹市の玉川上水に入水自殺しました。没年38歳。しかし、入水後に雨が降ったため、なかなか遺体が上がらず、見つかったのが6日後の6月19日。この日…

【日刊 太宰治全小説】#170「津軽」五 西海岸

【冒頭】 前にも幾度となく述べて来たが、私は津軽に生れ、津軽に育ちながら、今日まで、ほとんど津軽の土地を知っていなかった。 【結句】 さて、古聖人の獲麟(かくりん)を気取るわけでもないけれど、聖戦下の新津軽風土記も、作者のこの獲友の告白を以て…

【日刊 太宰治全小説】#169「津軽」四 津軽平野

【冒頭】 「津軽」本州の東北端日本海方面の古称。 【結句】 兄は黙って歩き出した。兄は、いつでも孤独である。 「津軽」について ・新潮文庫『津軽』所収。 ・昭和19年7月末までに脱稿。 ・昭和19年11月15日、「新風土記叢書7」として小山書店か…

【日刊 太宰治全小説】#168「津軽」三 外ヶ浜

【冒頭】 Sさんの家を辞去してN君の家へ引上げ、N君と私は、さらにまたビールを飲み、その夜はT君も引きとめられてN君の家に泊る事になった。三人一緒に奥の部屋に寝たのであるが、T君は翌朝早々、私たちのまだ眠っているうちにバスで青森へ帰った。 …

【日刊 太宰治全小説】#167「津軽」二 蟹田

【冒頭】 津軽半島の東海岸は、昔から外ヶ浜と呼ばれて船舶の往来の繁盛だったところである。青森市からバスに乗って、この東海岸を北上すると、後潟(うしろがた)、蓬田(よもぎた)、蟹田(かにた)、平舘(たいらだて)、一本木、今別、等の町村を通過し…

【日刊 太宰治全小説】#166「津軽」一 巡礼

【冒頭】 「ね、なぜ旅に出るの?」 「苦しいからさ」 【結句】 「私は、あした蟹田へ行きます。あしたの朝、一番のバスで行きます。Nさんの家で逢いましょう」 「病院の方は?」 「あしたは日曜日です」 「なあんだ、そうか。早く言えばいいのに」 私たち…

【日刊 太宰治全小説】#165「津軽」序編

【冒頭】或るとしの春、私は、生れてはじめて本州北端、津軽半島を凡そ三週間ほどかかって一周したのであるが、それは、私の三十幾年の生涯に於いて、かなり重要な事件の一つであった。私は津軽に生れ、そうして二十年間、津軽に於いて育ちながら、金木、五…

【太宰散歩】津軽、太宰ゆかりの地を歩く2018(前編)

撰ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり ーヴェルレエヌ 太宰の処女作『晩年』の冒頭を飾る作品「葉」冒頭のエピグラフからはじめます。 この詩は、39年におよぶ人間・太宰治の心境を集約した言葉だと思います。 自己に対する、文学者としての「撰…