記憶の宮殿

僕は、記憶の宮殿を、自由に旅する。太宰治が、ソウルフレンド。

津軽

【日めくり太宰治】8月17日

8月17日の太宰治。 1941年(昭和16年)8月17日。 太宰治 32歳。 故郷の母夕子(たね)の衰弱が甚だしいとのことで、北芳四郎(きたよししろう)の勧めによって、十年振りで故郷に帰り、母夕子(たね)、祖母イシ、次兄英治、叔母キヱなどと逢った。…

【日めくり太宰治】8月6日

8月6日の太宰治。 1945年(昭和20年)8月6日。 太宰治 36歳。 田中英光(たなかひでみつ)は、二泊して六日立ち去った。 田中英光、金木の太宰を訪問 太宰は、1945年(昭和20年)7月31日、四昼夜をかけて甲府から故郷・金木へと疎開しま…

【日めくり太宰治】7月28日

7月28日の太宰治。 1945年(昭和20年)7月28日。 太宰治 36歳。 朝、石原愛子、大内かね、和子などに甲府駅まで見送られ、焼土となった甲府をあとにし、妻子を連れて津軽へと旅立った。 太宰、甲府から津軽へ疎開 1945年(昭和20年)4…

【日めくり太宰治】6月3日

6月3日の太宰治。 1944年(昭和19年)6月3日。 太宰治 34歳。 夜、「五月雨の木の晩暗の下草に蛍火はつか忍びつつ燃ゆ」と短冊に書き、中村貞次郎(さだじろう)宅に残した。この「蛍火」が、その後、中村貞次郎の胸中で燃え続けたという。 太宰の…

【日めくり太宰治】5月27日

5月27日の太宰治。 1944年(昭和19年)5月27日。 太宰治 34歳。 五月二十七日、バスで十一時に小泊に着いた太宰治は、越野家に行ったが、留守であった。 太宰の『津軽』旅行④:鯵ヶ沢~小泊 今日は、5月24日に紹介した、太宰の『津軽』執筆…

【日めくり太宰治】5月24日

5月24日の太宰治。 1944年(昭和19年)5月24日。 太宰治 34歳。 金木町の生家に帰る。 太宰の『津軽』旅行③:金木~深浦 今日は、5月17日に紹介した、太宰の『津軽』執筆のための故郷・津軽旅行の様子を紹介する、第3回目です。 前回は、…

【日めくり太宰治】5月17日

5月17日の太宰治。 1944年(昭和19年)5月17日。 太宰治 34歳。 中村貞次郎(なかむらさだじろう)とともに発ち、今別の松尾清照の家に立ち寄ったあと、その夜は三厩の丸山旅館(仙龍園)で一泊。 太宰の『津軽』旅行②:今別~竜飛 今日は、5月…

【日めくり太宰治】5月12日

5月12日の太宰治。 1944年(昭和19年)5月12日。 太宰治 34歳。 ゲートルを着け、リュックサックを背に、弁当水筒持参で、三鷹の自宅を出発した。 太宰の『津軽』旅行①:三鷹~蟹田 1944年(昭和19年)5月12日。太宰は、「生れてはじ…

【桜桃忌2019】太宰治 生誕110周年によせて

6月19日。今日は、桜桃忌です。 1948年の6月13日、太宰治は愛人の山崎富栄さんとともに東京三鷹市の玉川上水に入水自殺しました。没年38歳。しかし、入水後に雨が降ったため、なかなか遺体が上がらず、見つかったのが6日後の6月19日。この日…

【日刊 太宰治全小説】#170「津軽」五 西海岸

【冒頭】 前にも幾度となく述べて来たが、私は津軽に生れ、津軽に育ちながら、今日まで、ほとんど津軽の土地を知っていなかった。 【結句】 さて、古聖人の獲麟(かくりん)を気取るわけでもないけれど、聖戦下の新津軽風土記も、作者のこの獲友の告白を以て…

【日刊 太宰治全小説】#169「津軽」四 津軽平野

【冒頭】 「津軽」本州の東北端日本海方面の古称。 【結句】 兄は黙って歩き出した。兄は、いつでも孤独である。 「津軽」について ・新潮文庫『津軽』所収。 ・昭和19年7月末までに脱稿。 ・昭和19年11月15日、「新風土記叢書7」として小山書店か…

【日刊 太宰治全小説】#168「津軽」三 外ヶ浜

【冒頭】 Sさんの家を辞去してN君の家へ引上げ、N君と私は、さらにまたビールを飲み、その夜はT君も引きとめられてN君の家に泊る事になった。三人一緒に奥の部屋に寝たのであるが、T君は翌朝早々、私たちのまだ眠っているうちにバスで青森へ帰った。 …

【日刊 太宰治全小説】#167「津軽」二 蟹田

【冒頭】 津軽半島の東海岸は、昔から外ヶ浜と呼ばれて船舶の往来の繁盛だったところである。青森市からバスに乗って、この東海岸を北上すると、後潟(うしろがた)、蓬田(よもぎた)、蟹田(かにた)、平舘(たいらだて)、一本木、今別、等の町村を通過し…

【日刊 太宰治全小説】#166「津軽」一 巡礼

【冒頭】 「ね、なぜ旅に出るの?」 「苦しいからさ」 【結句】 「私は、あした蟹田へ行きます。あしたの朝、一番のバスで行きます。Nさんの家で逢いましょう」 「病院の方は?」 「あしたは日曜日です」 「なあんだ、そうか。早く言えばいいのに」 私たち…

【日刊 太宰治全小説】#165「津軽」序編

【冒頭】或るとしの春、私は、生れてはじめて本州北端、津軽半島を凡そ三週間ほどかかって一周したのであるが、それは、私の三十幾年の生涯に於いて、かなり重要な事件の一つであった。私は津軽に生れ、そうして二十年間、津軽に於いて育ちながら、金木、五…

【日刊 太宰治全小説】#148「帰去来」

【冒頭】人の世話にばかりなって来ました。これからもおそらくは、そんな事だろう。みんなに大事にされて、そうして、のほほん顔で、生きて来ました。これからも、やっぱり、のほほん顔で生きて行くのかも知れない。そうして、そのかずかずの大恩に報いる事…

【日刊 太宰治全小説】#143「故郷」

【冒頭】昨年の夏、私は十年振りで故郷を見た。その時の事を、ことしの秋四十一枚の短篇にまとめ、「帰去来」という題を附けて、或る編輯部に送った。その直後の事である。 【結句】ふと気がつくと、いつの間にか私の背後に、一ばん上の姉が、ひっそり坐って…

【太宰散歩】津軽、太宰ゆかりの地を歩く2018(前編)

撰ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり ーヴェルレエヌ 太宰の処女作『晩年』の冒頭を飾る作品「葉」冒頭のエピグラフからはじめます。 この詩は、39年におよぶ人間・太宰治の心境を集約した言葉だと思います。 自己に対する、文学者としての「撰…