太宰治は、コピーライター。
冒頭の一文を読んだだけで、読者の心を掴み、最後まで、ぐいぐい読ませてしまう力があります。
同様に、結びの一文も秀逸。なんとも言えない余韻を残してくれます。
冒頭と結びの一文を引用しただけで、さながら映画の予告編を観ているような気持ちになります。
2019年は、生誕110周年
2019年は、太宰治 生誕110周年です。
太宰治は、同郷の作家であり、勝手ながらソウルフレンドと呼ばせて頂いています。
この記念すべき節目の年に、もっと皆さんに太宰作品に触れてほしい!魅力を知ってほしい!ということで、
【日刊 太宰治全小説】
こんな企画を始めます。
日刊 太宰治全小説
同様の企画は、2009年・太宰生誕100周年の年に新潮社から刊行された『人間失格ではない太宰治』所収の 堀井憲一郎氏「太宰治全小説 すべての冒頭一文と最後の一文」で行われていました。
本企画【日刊 太宰治全小説】も、冒頭一文と最後の一文の引用というテーマは一緒ですが、「ここまで読んでほしい!」と、一文以上引用する場合も多いので、同じテーマの企画ではありますが、少し趣向は異なるのでは…と考えています。
人間失格ではない太宰治―爆笑問題太田光の11オシ (SHINCHO MOOK)
太宰も気にした「書き出し」
太宰自身も書き出しについて意識していたようで、自作『女の決闘』の中で、以下のように書いています。
めくらめっぽう読んで行っても、みんなそれぞれ面白いのです。みんな、書き出しが、うまい。書き出しの巧いというのは、その作者の「親切」であります。(中略)すらすら読みいいように書いて在ります。ずいぶん読者に親切で、愛情持っていた人だと思います。
これは、太宰が尊敬する森鴎外について書いた文章ですが、鴎外について言いながらも、自分でこういう風に書いちゃうということは、太宰自身も、殊に意識していたんじゃないかと思います。
キャッチ―な書き出しは、まさに太宰の、読者に対するサーヴィスだったのではないでしょうか。
【日刊 太宰治全小説】凡例
基本的には、2019年1月1日(火)7時から、以下の凡例に基づいて、毎日7時に1作品ずつ、全部で155作品を紹介していく予定です。
また、冒頭と結句の後には、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)からの引用で全文掲載もするので、気になった作品はそのまま読めるような構成にしています。
①全小説とは、新潮文庫で刊行されている18冊のうち、随想集『もの思う葦』を除く17冊に所収で、太宰治名義で発表された小説を指します。
②原則、作品の発表順に紹介していきます。
③一部、作者の意図を汲み、発表順とは異なる順で紹介する場合もあります。
④脱稿日、初掲載日は、山内祥史『太宰治の年譜』(大修館書店 2012年)に依ります。
⑤一編の小説がいくつかの掌編で構成される場合、それぞれの掌編を1作品と数えて、冒頭と結句を紹介する場合もあります。
⑥長編作品の場合、1作品を各章ごとに分けて紹介する場合もあります。
⑦雑誌に複数回に分けて掲載された作品の場合、完結した時点を作品の発表時期とします。
また、太宰の作家人生を文芸評論家・奥野健男氏に倣って前期・中期・後期の3つに分け、三部構成で作品を紹介していきます。
それでは、作品一覧をご案内します。
作品一覧
公開済の作品は、下記の作品名一覧から読めます!
-前期-
1.「葉」(『晩年』)
2.「思い出」①②③(『晩年』)
3.「魚服記」(『晩年』)
4.「列車」(『晩年』)
5.「地球図」(『晩年』)
6.「猿ヶ島」(『晩年』)
7.「雀こ」(『晩年』)
8.「道化の華」(『晩年』)
9.「猿面冠者」(『晩年』)
10.「逆行」①②③④(『晩年』)
11.「彼は昔の彼ならず」(『晩年』)
12.「ロマネスク」①②③(『晩年』)
13.「玩具」(『晩年』)
14.「陰火」①②③④(『晩年』)
15.「めくら草紙」(『晩年』)
16.「ダス・ゲマイネ」
17.「雌に就いて」
18.「狂言の神」
19.「虚構の春」①②③
20.「創世記」
21.「喝采」
22.「二十世紀旗手」
23.「あさましきもの」
24.「HUMAN LOST」
25.「燈籠」
-中期-
26.「満願」
27.「姥捨」
28.「I can speak」
29.「富嶽百景」①②
30.「黄金風景」
31.「女生徒」
32.「懶惰の歌留多」
33.「秋風記」
34.「新樹の言葉」
35.「花燭」
36.「愛と美について」
37.「火の鳥」①②③④⑤⑥⑦⑧⑨
38.「葉桜と魔笛」
39.「八十八夜」
40.「座興に非ず」
41.「美少女」
42.「畜犬談」
43.「ア、秋」
44.「デカダン抗議」
45.「おしゃれ童子」
46.「皮膚と心」
47.「俗天使」
48.「兄たち」(「美しい兄たち」改題)
49.「鷗」
50.「春の盗賊」
51.「女人訓戒」(「短片集」改題)
52.「駈込み訴え」
53.「老ハイデルベルヒ」
54.「誰も知らぬ」
55.「善蔵を思う」
56.「走れメロス」
57.「女の決闘」①②③④⑤⑥
58.「古典風」
59.「盲人独笑」
60.「失敗園」
61.「一燈」
62.「きりぎりす」
63.「リイズ」
64.「乞食学生」①②③④⑤⑥
65.「東京八景」
66.「みみずく通信」
67.「佐渡」
68.「清貧譚」
69.「服装に就いて」
70.「ろまん燈籠」①②③④⑤⑥
71.「令嬢アユ」
72.「千代女」
73.「新ハムレット」
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩
74.「誰」
75.「風の便り」①②③
76.「恥」
77.「新郎」
78.「十二月八日」
79.「律子と貞子」
80.「水仙」
81.「待つ」
82.「正義と微笑」
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪
83.「小さいアルバム」
84.「花火」(のち「日の出前」に改題)
85.「禁酒の心」
86.「故郷」
87.「黄村先生言行録」
88.「鉄面皮」
89.「赤心」
90.「花吹雪」
91.「帰去来」
92.「右大臣実朝」
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩
93.「不審庵」
94.「作家の手帖」
95.「佳日」
96.「散華」
97.「雪の夜の話」
98.「東京だより」
99.「津軽」①②③④⑤⑥
100.「貧の意地」(『新釈諸国噺』)
101.「大力」(『新釈諸国噺』)
102.「猿塚」(『新釈諸国噺』)
103.「人魚の海」(『新釈諸国噺』)
104.「破産」(『新釈諸国噺』)
105.「裸川」(『新釈諸国噺』)
106.「義理」(『新釈諸国噺』)
107.「女賊」(『新釈諸国噺』)
108.「赤い太鼓」(『新釈諸国噺』)
109.「粋人」(『新釈諸国噺』)
110.「遊興戒」(『新釈諸国噺』)
111.「吉野山」(『新釈諸国噺』)
112.「竹青」
113.「惜別」①②③④⑤⑥⑦⑧
114.「瘤取り」(『お伽草紙』)
115.「浦島さん」(『お伽草紙』)
116.「カチカチ山」(『お伽草紙』)
117.「舌切雀」(『お伽草紙』)
-後期-
118.「パンドラの匣」
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬
119.「庭」
120.「親という二字」
121.「嘘」
122.「貨幣」
123.「やんぬる哉」
124.「十五年間」
125.「未帰還の友に」
126.「冬の花火」①②③
127.「苦悩の年鑑」
128.「チャンス」
129.「春の枯葉」①②③
130.「雀」
131.「たずねびと」
132.「薄明」
133.「男女同権」
134.「親友交歓」
135.「トカトントン」
136.「メリイクリスマス」
137.「母」
138.「ヴィヨンの妻」①②③
139.「父」
140.「女神」
141.「フォスフォレッセンス」
142.「朝」
143.「斜陽」①②③④⑤⑥⑦⑧
144.「おさん」
145.「犯人」
146.「饗応夫人」
147.「酒の追憶」
148.「美男子と煙草」
149.「眉山」
150.「女類」
151.「渡り鳥」
152.「桜桃」
153.「家庭の幸福」
154.「人間失格」①②③④⑤⑥
155.「グッド・バイ」
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭
それでは、2019年1月1日(火)7時から、毎日の更新をお楽しみに!
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本ブログに掲載している太宰のカラー写真は、ディープネットワークによる色付け加工をしています。
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